「痛み」って何者ですか? ~その弐~
毎月1回お届けの整体コラム2019年9月号のバックナンバーをお届けします。
*整体に整体師は要らない!?*9月号 「痛み」って何者ですか?
~その弐~
…っ暑い、 っ暑い、 っっ暑いですね~、ん~~…皆さま如何お過ごしでしょうか?
今回も前回に引き続き「痛み」についての考察をしてまいりましょう。
(いきなり余談っぽい滑り出しになりますが)
今このコラムを書いている現場でもある僕の家は、海岸近くの住宅街に在るにも関わらず日々のお買い物をするにはかなり便利で、目の前がセブンイレブン、隣がクリエイト、その並びがフジスーパーという怠けん坊にはもってこいの環境なのですが(近隣の方、何処だか分かっちゃいますね…内密にお願いします(汗))、このところ、どの店でも買えるようなちょっとしたお買い物の際、他のシーズンは僕がやや苦手とするフジスーパーを選択する頻度が増していることに気付きました。
暑さに負けないように、この中では一番遠いフジスーパーにして少しでも…いいえ、違います。冷房が「これでもか!」と言わんばかりにズバ抜けて効いているからなのです。
本来僕がフジスーパーを苦手としている理由が実はここにあるのですが、流石のこの暑さの中では「そこが良いっ!逆にっ!」になってしまっていて、いざ炎天下の中を歩き始めると、無意識のうちにフジスーパーに足が向くようになっているのです。
❝寒さ嫌い殺し❞のスーパー独特の生鮮食料品のオープン棚から溢れ出るあの痛い程にキンキンに冷えた冷気が充満した空間を、今や心地好いとカラダが感じているというわけです。
「暑いんだから当たり前でしょ」って、ちょっと待ってください。せっかくコラムなのですから、ここはひとつ、少し理屈っぽく考えてみることにどうかお付き合いくださいませ。
何故、元々は苦痛であると感じていた因子が、快感であると感じる因子に転じたのでしょうか…?
それはより強力な苦痛を与える新たなる因子が現れ、しかも元々苦痛である筈の因子が一時的にその新たなる苦痛を緩和してくれるとカラダが判断したからです。
では、仮に元々の苦痛因子をA、新たなる苦痛因子をBとしましょう。
フジスーパーの例になぞらえると、Aは冷気、Bは暑気、です。
双方の関係性は、互いに打ち消しあう者同士ですから、苦痛の度合いが、A<Bと感じた場合は、AはBを抑制してくれる快感因子と成り変わり、逆にA>Bとなった場合は、BがAを抑制してくれる快感因子と成り変わるわけです。
そして、この成り変わり現象は臨機応変に起こります。
実際にあったことなのですが、買う品物に迷ってしまって長居した際にカラダが冷え切ってしまい、冷気が苦痛になり、お店の外に出た瞬間に暑気が快ち良く感じてしまったのです。そう、AとBの関係性がほんの数分で入れ替わってしまうのです。
皆さんもご経験されたことがあると思いますが、例えばうだるような暑さの中、ホームで電車を待ち続けた後に冷房ビンビンの電車に乗った瞬間、なんとも生き返ったような快感に包まれます。が、それも束の間、今度は痛いほど冷え切ってしまい目的駅で降りた時、うだるような暑さが一瞬何とも気持ち良い暖かさに感じてしまうという…。
これは人が痛みを感じるメカニズムを、端的に説明しているシチュエーションとも言えます。
我々のカラダには「たった今、健康を脅かす危機に直面している」と判断すると、その原因因子がもたらす感覚を「苦痛」という不快な痛みで知覚させ、速やかに危機回避を行うよう、都度促す仕組みがあるのです。
前回8月号の巻末で
❝痛みは味方❞ であると連呼した理由はここにあります。
言い換えれば、痛みを感じた時とは「現況を改善しなければならない何らかの状況下に、今あなたのカラダは置かれていますよ」という有難いお知らせを貰えた時なのです。
そう、何とも頼もしい守護神=「痛み」なわけですね。
この続きはまた次回に。
次回は整体師の立場から見る「痛み」の重要性なども加味しながら、もう少し深く考察していきたいと思っています。
★9月号をお読みいただきありがとうございました。皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます。
それではまた来月、ここでお逢いしましょう… 香野
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