「湿」の影響
こんにちは。江の島整体「癒芽身」の施術長 香野です。
梅雨入り直前の散歩がてらのスナップです(引地川沿いの空地に咲いていた紫陽花)
※ソフトフォーカス処理は携帯電話のレンズ汚れによる事故です。
さて、早いもので気が付けば今年ももうじき前半終了となるわけですが、今年は季節感というものの実感が持てないまま、漠然とカレンダーをめくり続けるような…そんな時間の経過になっているような気がしています。皆さんは如何でしょうか?
そんな今年の後半は、積極的に「季節感を取りに行く」という意識が特に必要かと感じています。
そこで新シリーズとしまして『季節とカラダ』というのを設けまして、ここでは、季節によって気を付けるべきことなどを書いてゆこうと思っています。
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梅雨です。
長雨やジメジメとした湿度の高い環境が苦手で体調が下がってしまうという方、かなり多いのではないでしょうか? 実は僕もその1人だったりします。
この季節は、非常に原始的な道具⇒恐らくは発明されて以来ほぼ進化していないであろう日用品に頼る頻度が著しく増える時でもあります。⇒傘です。
あれ、もう少し何とかならないものかと、雨の中出掛ける度、僕は考えてしまいます。
A.I.がどうたらこうたらとか、5Gになればどうたらこうたらとか…実は誰も心から望んでないような気がするのですが…そんなことよりも、傘!どうにかしてください、っていう感じです。
そもそも荷物になりますし、紛失物No.1&その都度買い足しで環境にも良くないですし、何よりも傘をさした時の、あの…何と言いますか…ビールジョッキを持たされたまま乾杯お預けな感じとでも言いましょうか…屈辱的な恰好のキープ、皆さんよく何事もないようにしているなぁと、根性無しの僕はいつも感心しているのです。(しかもあの体勢はカラダに良いと決して言えません)
もういい加減、雨のしのぎ方においても、人類はネクストステージに…傘も持たず、雨合羽を着る必要もない、そんな時代入っていく時なのではないでしょうか!
…余談でした。完全に。
&おっさんのボヤキになっている気がしましたので、傘の考察(クレーム)はここまでにします。
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さてこの季節、、雨というカラダの外を取り巻く水が賑やかになるその一方で、カラダの中に有する水は寂しく非活動的な状態になってしまいます。
ここからは中医学も引用しながら「湿度と体内の水分の関係」について見ていきます。
「水滞(すいたい)」という言葉、聞きなれない方も多いかと思います。
これは中医学の言葉で、体内の水が停滞して偏在している状態(=水毒)を言います。
カラダが「水滞」になりますと、浮腫み、めまい、夜間頻尿、鼻汁や痰、倦怠感、筋肉痛、喘鳴、関節痛、食欲不振、吐き気、下痢など…様々な症状が現れます。
特に梅雨期の「水滞」は「湿邪(しつじゃ)」がもたらすものです。
また聞きなれない言葉の登場ですが、この「湿邪」も中医学の言葉で「水の邪気」を表し、
湿気によって体内に溜まった余分な水分や老廃物が引き起こす体調不良をそう呼びます。
僕自身が行う施療に於いては、正気、邪気、と対比的な2分を「気」に対して宛がうことはしていません。「気」は常に「正」であろうとしてこの世に存在している、と僕は思ってるからです。その理由は「流素(るそ)」の存在です。
この「流素」につきましても、いつかお話しましょう。(ググっても出てきません)
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カラダの組織中に水分が一定量確保されている状態は、カラダが存続するために自らが作り出している極めて重要な*恒常性ですが、ここで大切なのは絶えずその水分が循環し排泄&補給されながらリニューアルを繰り返し続けることです。が、外気の湿度が高いと汗が出難い状態になります。
*恒常性とは、生体の内&外部の環境因子の変化に関わらず生体の状態が一定に保たれようとする性質、状態のこと。
発汗は気化熱によって体表温度を下げるための機能で、湿度が高いと大気が受け入られる水分量が少ないために、発汗が意味をなさないと察知したカラダは汗を出さなくしてしまうのです。
そもそも人類に体毛が無いのは、発汗を積極的に促し体温の上昇を防ぐためだと言われています。ですから、人間のカラダは汗をかけない多湿の環境が、その構造的に得意ではないのです。
汗をかけなくなったカラダは余分な水を溜め込むことになります。
体内にあるものは全て体温と同じ温度に近付こうとしますが、そうさせるのはカラダがエネルギーを消費する「代謝」によって発熱を続けるからです。
例えば、やかんに水を入れ、この水を沸騰させることなく、36℃に維持しようとしたとします。
そのためには、水の量に対し ❝絶妙な火加減❞ に調整されたコンロに乗せ続けることが必要です。
しかし、液体である水(この時点ではお湯)は、気化(蒸発)しますから、気化して減った分だけその都度水を補充しないと、お湯はその量を減らし続け、沸騰し、やがて失くなってしまいます。
逆に、やかんに必要以上の(気化して減った量より沢山の)水を継ぎ足し、その火力を変えずにいたら、お湯は初めより温度を下げた状態に保たれることとなります。
上記は体温が適正に保たれるメカニズムの比喩で、やかんは「カラダ」、水は体内の「水分量」、 ❝絶妙な火加減❞ は「代謝」にそれぞれ置き換えることができます。
何となくお判りいただけたかと思いますが、
つまり、カラダに「余分な水が停滞」している状態は、即ちカラダが「冷え易い状態」「低体温に陥り易い」であるということなのです。
低体温の人は免疫が低いということ、皆さんご存じかと思います。(癌に成り易いとも言われていますね)
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梅雨独特の「暑いんだか寒いんだか分んない」という感覚、皆さん身に覚えがあるかと思います。
この時「体の表面は暑さを感じているが芯は冷えている」という状態にある可能性が高いのです。
そして、これが日本独特の梅雨前線(or秋雨前線)がもたらす湿邪の”質”と言って良いでしょう。
そう感じた時は(言うまでもなくですが)何はともあれ、カラダを温めましょう。
特にこの時期は先にも述べたように感覚的な暑さが同居しますから、
冷たい飲み物を摂りがちになったり、温かい食べ物を摂らなくなったりしがちです。
先ずは小腸(=免疫の要)を冷やさないという意味においても、意識的に温かいものを飲み、温かい食べ物(野菜も生でなく加熱したもの)を食べてカラダを内側から温め、服装も暖かいもの(+通気性が良いもの)を着ましょう。
水滞を改善する手段として、体内の水分&塩分調整に役立つミネラル「カリウム」を積極的に摂るという方法論もあります。が、体質や体調によって(特に腎機能が著しく低下しているような状態)は健康上マイナスに作用することもあるようなので、万人に「してみてください!」とは言えませんが、健康体であれば効果は高いと言って良いかも知れません。
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後は湿邪を遠ざける方法を…となるのですが、ここで「湿」と「邪」に分けて考えてみます。
少し話が変わりますが、
皆さんはインドネシアの田舎などに行かれたことありますでしょうか?
雨季の日中などは日本の比ではないレベルで、絶えず湿気がカラダにまとわり付きます。勿論エアコンは無く、それを洗い流す手立て⇒よく落ちる石鹸&熱いシャワーもありません。
カラダも服も超ベトベトで不快です。が、何故か嫌ではない→
「不快」だけど「不愉快ではない」
のです。そう、何というか、
「湿」は大いに在るが「邪」が伴わない
という感じなのです。
この理由は恐らくですが、簡単に言うとそこの地に於ける共通の認識として「仕方のないこと」「当然のこと」になっているので、カラダが受容できてしまうのだと思います。
つまり、常に体調を快適な状態に保持することに固執し、またそれが叶う人工的な環境が備わっていたりすると、起きて当前の変化に対してもカラダはネガティブに反応してしまうのではないかと…そう、思うのです。
現代人の体調不具合に陥る際の起点が、メンタル(精神面)にある頻度が非常に高いと言われるその理由が、正にこの「快適にしようとし過ぎ」にあるのだと、僕は感じています。
本当にカラダのことを思いやればこそ、
自然環境からの影響で起こるカラダの変化は「ある程度受け入れるべき」
というのが、僕の個人的見解です。その変化も含めて「恒常性」なのだと思っています。
これは僕自身が、自分自身に課していることでありますので、皆さんもそうすべきだ、そうした方が良いのだ、と言うことではなく、あくまでも1/提案として受け止めてください。
…さて置き、
纏めとして繰り返しになりますが、梅雨は心してカラダを中から温め、外からも暖めてください!
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そして、最後に重要な豆知識をお伝えしておきます。❝一生もん❞ の情報です。
季節を問わず、カラダ全体の冷え防止において重要な部位はズバリ、
踝(くるぶし)
です。これ、覚えておいてください。
例えば足が冷えた時、爪先を温めても足もカラダも温まりません。温めるべき場所は踝なのです。
何故? その理由を…となりますと『進化論』から掘り下げる長〜い話になってしまうのですが、
超掻い摘んで「勘の良い人だけ判かってください」的なスタンスで申しますと、
人=下肢だけで直立してしまったが故に直角に折れ曲がった足首を持つ生物
なわけです。(「?」だけど知りたい!な方はご連絡ください)
「カラダを冷やさない為には腰を温めると良い」というのは常識としてご存知かと思いますが、足首というところ=アキレス腱~踝~踵までの部位は、腰回りの環境と深く連動しています。なので足首は「両手に収まる腰部」という認識を持っていただいても良いかと思います。
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さて今回はこの辺にしまして、失礼致します。
皆さまの健康を心よりお祈り申し上げます。
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