整体に整体師は要らない!?

整体師範 香野勇雄 のブログです。

「痛み」って何者ですか?~その伍~

こんにちは。江の島整体「癒芽身」の施術長 香野です。

毎月1回お届けの整体コラム2020年1月号をお届けします。

 

*整体に整体師は要らない!?*月号 「痛み」って何者ですか?~その

 

寒暖差激しきこの師走、皆さま如何お過ごしでしょうか?

今回は新年号でもありますので、皆さま、明けましていやいや、これを書いている今現在は未だ年が明けていません。旧年を嘘で締めくくり新年を嘘から始める何れも良くありませんね。なので新年のご挨拶は無しで始めさせていただきます。

と考えますと年賀状、あれ、良くない習慣です。なるべく元旦に近い日に投函して貰いたいがあまり、大切な年の暮れに嘘をつく不思議な習わしですよね。これがどうも気持ち悪くなりまして、僕はほんの数年前から年賀状、年末に書くの止めてしまいました。それからというもの、その年ごとの収穫の質がグッと高まったような気がします。

さて置き、今回も「痛み」についての考察をしていこうと思います。

 

「慢性痛」という言葉、聞いたことあるかと思います。正式には「慢性疼痛」と言って、

その文字の通り一時的にではなく慢性的に痛みを感じ続ける症状なのですが、定義として「慢性疼痛とは、3カ月間を超えて持続もしくは再発する、または急性組織損傷の回復後1カ月を超えて持続する、または治癒に至らない病変に随伴する疼痛である。/Googleとあります。

 

例えば、治癒に要する期間が長期化した場合、それに伴って痛みも長期化し、患部が治癒した後に痛みも消失するのであれば問題は無いのですが、前述の定義にある「持続」「再発」は、それを否定する言葉です。即ち「慢性痛」或いは「慢性疼痛」は、患部の治癒と同期しない痛みのケースを示します。

 

2000年以降の最新医学の研究に於いて、痛みは脳の神経回路が作っているという学説が主流となっています。これは痛みの根本原因が消失しても、脳が痛みを感知する限り痛みは存在し続けるということを裏付ける学説なのです。(このシリーズの初回にお約束した「敢えてアカデミックでは無い角度で」で進行したいと思いますので、ここではこれ以上このメカニズムについては掘り下げません)

 

さてここで、皆さんは「疾病(しっぺい)利得」「疾病利益」という言葉をご存知でしょうか?

これは疾病(=病気に罹ること)でその本人が得られる利益やメリット全般を意味する言葉で、補償や休暇などの経済的&社会的な利得利益を示す一方、心理的なそれを示す時、それが人の健康を長期に渡り阻害し続ける複雑かつ深刻な問題となってきます。

 

では、病気に罹ることで得られる心理的利益とは何なのでしょうか。それはどんなことに遭遇した時に生じるのでしょうか? その例を幾つか挙げて考察してみましょう。

 

病気になったお陰で、

・好きな人がいつも優しくしてくれるようになった

・いつもそっけなかった人が注目するようになった

・人より良い結果を出せなくても諦めがつくようになった

・やらなければいけないことを放置していてもドキドキしなくなった

・ずっと抱えていた心配事が気にならなくなった 

                       etc.

 

本来疾病は、いつ何時であっても誰にとっても辛いものではあります。が、例えば、通院先のお医者さんに恋してしまったとしたら、「もう暫く治らないで欲しい」という深層心理が芽生えてしまうのも想像に難しくありませんよね。

 

また、文化水準の高い生活圏で営む人々に於いての疾病は、日々成長を強いられ結果を要求される近代社会という枠組みから、一時解放してくれる立役者平たく言えば「怠けていても許される時間」「現状維持で自己満足できる理由」だったりもするわけで、実際にその状況下に修まる為の遅延行為の体をなしている慢性痛は少なくない、と僕は思っています。

 

そして、上記で言ってきたことは病気に限らず、軽度の怪我や体調不良においても発現する心理で、それらが長引いていること、完治していないことを自分自身に証明してくれるもの、それが「痛み」なのです。

 

ここで重要なのが、治ってもなお痛みを主張する彼らは、決して確信犯的な「嘘つき」ではないという点です。本当に患部(だった部位)が痛むのです。

前述で「人の健康を長期に渡り阻害し続ける複雑かつ深刻な問題」としたのはこのポイントです。

 

それでは今回はこの辺で次回はこの慢性痛をもう少し掘り下げてみたいと思っています。

 

月号をお読みいただきありがとうございました。皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます。

それではまた来月、ここでお逢いしましょう 香野 

 

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